1)脳梗塞
脳梗塞は、脳の血管がつまったり、狭くなって、脳への血の流れが障害 され、脳細胞が死んでしまう病気です。日本人の脳卒中の7割近くがこ の脳梗塞です。 脳梗塞は、血管のつまり方によって、脳血栓と脳塞栓の二つに分類され ます。

  1. 脳血栓
    脳の血管が動脈硬化を生じ、次第に狭くなり、ついには閉塞してしまう 病気です。高齢者に多く、症状は比較的ゆっくり進行します。夜間や早 朝に発症することが多く、軽症の場合は、手足のしびれ、運動障害、言 葉が出にくいなどの症状が出現します。重傷の場合は、高いびきをかい て、目覚めることはありません。トイレで倒れている所を発見される場 合も少なくありません。
  2. 脳塞栓
    脳の血管以外で作られた血栓(血の固まり)が血流にのって脳の血管に 到達し、脳の血管につまる病気です。原因としては、心臓で作られる血 栓が流れてくる場合や首の血管で作られる血栓が流れてくる場合が多い です。脳塞栓は、流れてきた血栓で脳の血管が急につまるために、症状 は急速に進行します。脳血栓と異なり、活動時間に生じることが多いた め、昼間に多い脳梗塞です。大きな血管がつまることが多いため、経過 が悪く、死亡率が高い脳卒中です。

2)脳出血
脳の血管が破裂して、出血を生じる病気です。動脈硬化でもろくなった 血管が裂ける場合が多く、高血圧の患者さんに多い傾向があります。出 血した血液は脳組織の中にたまり、血溜まりを作ります(これを血腫と 言います)。血腫できる場所や血腫の大きさで症状が異なります。出血 しやすい場所は大脳基底核と呼ばれる場所で、体の半分が麻痺する場合 が多いです。血腫が大きいと、死亡してしまいます。

3)くも膜下出血
動脈にできるこぶ(脳動脈瘤と呼びます)が破裂して、脳の表面に出血 を生じる病気です。働き盛りに多い病気で、経過は悪く、社会復帰が出 来るのは、全体の三分の一程度です。後頭部を中心とした激しい頭痛( 金槌で殴られたような、経験したことのない様な痛み)と嘔吐で発症し ます。症状は徐々に進行し、病院には歩いてきたのに、入院する頃には、 意識不明となることも珍しくありません。しかし、出血量が少ない場合 は、頭痛も軽く、風邪と診断され手遅れとなることも少なくありません。 無治療では、ほぼ100%死亡するため、早期に適切な治療が必要です (早期治療をしても、社会復帰が出来る確率は三分の一です)。