アメリカでは、過去、心筋梗塞の早期治療を目的として、ハートアタッ ク(Heart Attack)と称した一大キャンペーンを行い、大成功を納めました。
このハートアタック キャンペーンの成功に気をよくし、今度はブレインアタック(Brain Attack)と称し、 脳卒中治療のキャンペーンを行っています。
しかし、心筋梗塞の場合と異なり、必ずしも成功しているとは言えません(最も、脳卒中治療は、アメリカより日本の方が先進しており、今更追従する必要もありません。 脳動脈瘤の早期手術を始めたのも日本であり、脳梗塞に対する血栓溶解 療法の有効性を示したのも日本が先です。 ブレインアタック キャンペ ーンをまねる必要は全くありません)。

と言うのも、心筋梗塞は筋肉の病気であり、血流不足に耐える能力高く、また、再生する能力もあるのに対し、脳細胞は非常にもろく、血流がなくなると数分で死滅し、再生 しないためです。
飯塚病院で11年間、脳卒中の最先端治療に従事して 来ましたが、その経験から言わせてもらえば、脳卒中の急性期治療も確 かに重要ですが、もっと重要なのは、脳卒中にならないと言うことです (たとえば、くも膜下出血の原因となる脳動脈瘤は、破裂してくも膜下 出血を生じた後に治療を行った場合は、社会復帰出来る可能性は三分の 一程度ですが、破裂する前に治療を行うと、治療の成功率は9割を越え ています)。
どの病院にかかっても、高血圧があれば危険だから下げなさいと言われ、 コレステロールや中性脂肪が高いと下げなさいと言われると思います。

しかし、なぜ、下げなければならないのか、理解した上で治療を受けていますか?(コレステロールは体の中でホルモンを作る材料です。低ければいいってものじゃありません)
心筋梗塞になるのが怖いのですか?
癌になるのが怖いのですか?
それと も、脳卒中で、長い間、障害に苦しみながら生きていくのが怖いのですか?
よく考えてみて下さい。 脳神経疾患は、症状が出たときには、病気が進行しています。症状が出 ていない時期に、しっかりした治療が必要なのです。